2026「20年代の視角 若き才能が、集まり、離れる」

20年代の視角――若き才能が、集まり、離れる
映画制作に取り組む若き作家たちが、偶然の出会いやご縁をきっかけに繋がり、互いの作品を持ち寄り、上映と対話の場を2023年に立ち上げました。
私たちが今、目の当たりにしているのは、かつてないほど多様な映画制作のあり方です。
スマートフォン、SNS、AI――
技術の進化は映像表現の可能性を大きく広げ、誰もが映画をつくることのできる時代がやってきました。
これは危機であると同時に、希望でもあります。
では、そんな時代に、2020年代を生きる若い映画作家たちは、どのような視角で世界を見つめているのでしょうか。
芸術とは、映画とは、人がつくる意味とは何か。
この問いを、私たちはもう一度、映画をつくる現場から立ち上げたいと思います。
今回は、現在活躍する若手映画作家たちからも敬愛されている三宅唱監督の初期を代表する作品『Playback』を上映します。
『Playback』は、仕事の行き詰まりや妻との別居など、人生の分岐点に立つ映画俳優ハジを主人公に、現在と過去が交錯し、時間が反復する独自の世界を描いた作品です。
2012年に発表されたこの作品は、三宅唱監督の映画表現を考えるうえでも重要な一作であり、今、映画をつくろうとしている若い世代にとっても、多くの問いを投げかけてくれる作品だと私たちは考えています。
若手作家たちは、メジャーとインディペンデントのあいだで揺れ動きながら、「うまくいかなさ」や「困難さ」を引き受けつつ、それでもなお表現しようとしています。
今回上映する作品にも、それぞれの作家が見つめている世界と、そこから生まれた切実な表現があります。
私たちは、群れず、孤立もせず、ただ緩やかに交差しながら、それぞれの創作を続けていきたい。
「集まり、離れる」――
その繰り返しの中に、何か新しく、より良いものが生まれていくことを信じています。
そして「20年代の視角」では、上映だけでなく、作品を起点に、監督も観客も世代や立場を超えて語り合う「座談会」を、毎回もっとも大切な時間として開催しています。
映画は、スクリーンの中だけで完結するものではない。
人と人が作品を囲み、言葉を交わすことで、映画はまた別の姿を見せてくれるのではないでしょうか。
このたび、映画と対話の実験空間として、4年目の開催を迎えます。
ぜひ、この場にご参加ください。
日時:2026年10月18日(日)午前11時〜18時30分
【上映スケジュール】
①11:00 太田慎一郎『虐殺前夜/GrayFiction』
②13:00 小池勇瀬『A New Town』
③14:00 楠城昇馬『なにも知らない』
④15:00 菊池路介『幾何中毒』
⑤16:00 三宅唱監督作品『Playback』上映
⑥17:50 座談会(若手監督とともに)
会場:カフェおきもと
・国登録有形文化財「沖本家住宅」の和館にて開催します。
・庭園に囲まれた開放的な建物です。
〒185-0033 東京都国分寺市内藤 2-43-9
国立駅より徒歩8分 駐車場8台 あり
HP→https://www.cafeokimoto.com/
参加費:若手作品+『Playback』上映、座談会までの1日通し券/一般3,000円、学生2,000円、障がい者手帳をお持ちの方1,500円(いずれも入退出自由)
若手作家の作品1日通し券/ 一般1,500円、学生1,000円、障がい者手帳をお持ちの方800円(いずれも16時まで入退出自由)
【参加作家プロフィールと映画紹介】
太田慎一郎『虐殺前夜/GrayFiction』

映画紹介:大地震による原発事故後、緊急事態条項と徴兵制が復活した近未来の日本。西日本出身を隠して生きる高校生「りか」は、徴兵から戻ったはずの人気者「リサ」の秘密に気づく。トラウマを抱えた若者たちの日常と非日常を描く青春映画。

太田慎一郎プロフィール
早稲田大学文化構想学部社会構築論系卒業。
中学3年の頃から映画製作を始める。
映画甲子園eiga worldcup2019 自由部門優秀音楽賞&地域部門全国2位優秀作品賞受賞。
米大使館協賛KACビデオ甲子園2019 日米総合優勝。
第2回国連SDGsクリエイティブアワード普及促進映像大賞受賞&ANA国内線及び国際線にて1年間上映。
小池優瀬『A New Town』

映画紹介:これは過去を懐かしむための青春物語ではありません。もう子供ではいられないサクとユキ、そして我々がいかにして「大人」になれるのかを考えるための話。彼らは過去を見つめ、今まさに大人になるために何が必要かを逡巡している。その延長線上にいるサクの母も含め、彼らの愛くるしい姿を、一緒にじっと見つめてみてほしいです。

小池勇瀬プロフィール:東京都立大学人文社会学部哲学専攻。映画美学校フィクションコース初等科卒業。初短編『ここに いても いい』が大和市ショートフィルムコンペティショングランプリ受賞。初中編『A New Town』が第三回山国映画祭優秀作品、俳優賞受賞。
楠城昇馬『なにも知らない』

映画紹介:部下へのパワハラで自宅謹慎となった拓磨。娘の莉子は、そんな父を心配しながらも部下の妻と会う。第37回東京学生映画祭入賞。

楠城昇馬プロフィール: 2001年静岡県生まれ。コロナ禍のただなか、早稲田大学に入学。たまたま活動を行っていた映画研究会に入会し、映像制作を開始。『あるきはじめて』(2024)高円寺学生映画祭銀河マリーゴールド賞、山国映画祭入賞。
菊池路介『幾何中毒』
映画紹介: 小説家の李緒は享楽的な生活を送っていた。しかし唯一の問題に頭を抱えている。それは「四面体」の妄想に執りつかれていること……

菊池路介プロフィール:1998年生まれ、香川県出身。大学在学中から映画制作を始める。
★16:00〜特別上映 三宅唱監督作品『Playback』

くにたち映画祭での企画、そして国立駅開業100年という年でもあり、
くにたち縁の映画監督である一橋大出身の三宅唱監督の初期の代表作『Playback』を上映いたします。
映画紹介:行き場を失くした男の、ある「再生」の物語。勢いだけですべて可能だと、そう信じていたときが終わり、ふと立ち止まる瞬間が訪れる。いままで自分は何をしてきたのか、そしてこの先どうなるのか。そんな、誰もが体験するだろう不安を『Playback』の主人公ハジも、40歳を手前にして抱えている。そんなときに彼は、自らが生きてきた道を辿り直すことで、かつての自分や仲間たち、故郷の風景を改めて発見するだろう。後悔するためではなく、自らの「再生」を始めるために。
三宅唱監督
1984年北海道生まれ。一橋大学卒業後、映画美学校で学び、2012年の『Playback』がロカルノ国際映画祭に出品。『ケイコ 目を澄ませて』や『夜明けのすべて』で毎日映画コンクールや日本アカデミー賞など数々の映画賞を受賞。最新作は2025年公開の『旅と日々』。国内外で高く評価されている監督である。
主催:くにたち映画祭2026 A&ANS