AIの進歩は、私たちの生活を便利にし続けています。
しかし同時に、それは「人間とは何か」という問いを、かつてない切実さで私たちに突きつけているように感じます。
これは、遠い未来のSFの話ではありません。
すでに私たちは、現実と仮想の境界が揺らぎ始めた世界の中で生きています。
マトリックスの入口に、私たちはもう立っているのかもしれません。
今、私がいちばん関心を持っているのは、AI、そしてその先にあるAGI(Artificial General Intelligence)です。
人間はこの技術に追いついていないどころか、
いつのまにか「考えること」そのものを、少しずつ明け渡し始めているのではないか——
そんな感覚を覚えることがあります。
いまはまだAIは身体を持たず、人間ではありません。
けれど、どこかのマッドサイエンティストが、クローン人間にAGIを搭載する実験をしている……
そんな想像も、もはや完全なSFとは言い切れない気がしてしまいます。
このままAIについて本気で考えなければ、
気づいたときには、私たちは「マトリックスの世界」に足を踏み入れているかもしれません。
ここで言うマトリックスとは、荒唐無稽な未来像のことではありません。
この世界がシミュレーションである可能性は、
哲学者のニック・ボストロムが2003年に提唱した「シミュレーション仮説」によって、本格的に議論され始めました。
これは現在、哲学の議論の最前線にあるテーマだと言われています。
イーロン・マスクは、すでにこの世界がシミュレーションである可能性を本気で疑っているそうです。
AIの進歩を間近で見ている人だからこそ、それは突飛な話ではないのかもしれません。
いくつもの宇宙が、すでにどこかの人間よりはるかに優れたAGIによって
創造されたものである可能性すらある——
そう考えても、論理的には否定できない地点に、私たちは来ているように思います。
そして実際、私たちはすでに次のような世界の中で生き始めています。
- VR空間
- メタバース
- デジタルツイン
- 脳−コンピュータ・インターフェース(Neuralink など)
- 生成AIによる仮想人格
- 仮想恋愛・仮想友人
- 仮想経済圏
「現実」と「仮想」の境界は、年々薄くなっています。
マトリックスは、ある日突然やって来るものではありません。
便利さ、楽しさ、快適さの名のもとに、静かに、穏やかに浸透してきます。
気づいたときには、
「こちらのほうが本当の世界ではないか」と思うほど自然になっている——
それは、もはやSFの世界だけの話ではないのです。
イーロン・マスクとも近い思想をもつ、
長期主義の哲学者、ウィリアム・マカスキルは、「50万年後、100万年後の未来を見据えて、いま行動すべきだ」と語っています。
この考え方は、一見すると現実離れしているように見えるかもしれません。
しかし、よく考えてみると、ある古い智慧と深く響き合っています。
ネイティブアメリカンには、
「すべての決断において、次の七世代に与える影響を考慮せよ」
という教えが、古くから受け継がれてきました。
いまの行動が、七世代先の子どもたちにどんな世界を残すのか——
それを想像しながら生きるという智慧です。
資源の利用、関係の築き方、文化の継承……
すべてが、「七世代先の子どもたちのために持続可能か?」という問いに生きています。
マカスキルの「百万年後」を見据えるスケールは桁違いに長いものですが、
その根底にあるのは同じ未来志向であり、
現在の私たちが、未来の無数の人々に対して責任を負っている、という感覚です。
時代や文化の根底を流れる、
思想の地下水脈に触れているように感じます。
この未来志向の視点が、
いままさにAI/AGIの爆発的進歩と出会うことで、
単なる「倫理的責任」を超えたものが生まれつつあります。
AIが人間の認知を超え始めている今、
私たちは「考えること」「創造すること」「意識を持つこと」そのものを、
あらためて定義し直さざるを得なくなっています。
それは、単なる技術革新ではありません。
人類の意識全体が、大きな転換点に立っている可能性を意味しています。
歴史を振り返れば、こうしたパラダイムシフトの時代——
ルネサンスや産業革命の頃、時代の転換点では、
必ず芸術と科学が深く交差してきました。
科学が新しいツールや知識を提供し、
芸術がそれを人間の内面に落とし込み、想像力を解き放ちます。
その交差点で、世界の見え方そのものが更新され
人々の意識が根本から変わってきたのです。
時代の転換点には、芸術と科学が交差し、人々の意識が変わる
そんなことに気づいて、A&ANSのブログにも書きました。
https://a-ans.com/2026/01/02/blog/
いまのAI時代も、まさにそのような転換点にあるのではないでしょうか。
AIの進歩によって見えてきた「人間とは何か?」これから、深く探究していきたいテーマです。
