【会場参加あり】ジェイムズ・ジョイスの小説を読む ー『若い芸術家の肖像』から『フィネガンズ・ウェイク』まで

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開催日時:2025年9月12日(金)19:00〜21:00
会場:カフェおきもと
〒185-0033 東京都国分寺市内藤 2-43-9
 国立駅より徒歩8分 駐車場8台​あり
   HP→https://www.cafeokimoto.com/
参加費:会場参加一般2,000円(ワンドリンク込み)当日会場にて精算
    学生1,000円(ワンドリンク込み)当日会場にて精算
        オンライン参加1,000円(peatixページより申込み、お支払いをお願いします) 
    *アーカイブ付きで、後日でもご視聴いただけます。

ジェイムズ・ジョイスの小説を読む ー『若い芸術家の肖像』から『フィネガンズ・ウェイク』まで

『ユリシーズ』(1922年)や『フィネガンズ・ウェイク』(1939年)を書いたジェイムズ・ジョイスはしばしば難解な——それどころか理解不能な——作家として言及されます。実際、ジョイスの作品、特にその文体には難しいと感じられる部分が少なくありません。しかし、必ずしもそうではありません。『若い芸術家の肖像』(1916年)の冒頭を見てみましょう。


むかし むかし、そのむかし、とても たのしいころのこと、いっぴきの うしもうもうが、みちを  やってきました。みちを やってきた、うしもうもうは、くいしんぼうやという、かわいい、ちっちゃな、おとこのこに、あいました……

(『若い藝術家の肖像』丸谷才一訳、集英社文庫、2014, p.13)

とても読みやすい文章ですね。しかし、『フィネガンズ・ウェイク』になるともう少し複雑な言葉遣いになります(翻訳の方が難しいので原文で見てみましょう)。


The fall (bababadalgharaghtakamminarronnkonnbronntonnerronntuonnthunntrovarrhoun-

awnskawntoohoohoordenenthurnuk!) of a once wallstrait oldparr is retaled early in bed and later on life down through all christian minstrelsy. The great fall of the offwall entailed at such short notice the pftjschute of Finnegan, erse solid man, that the humptyhillhead of humself prumptly sends an unquiring one well to the west in quest of his tumptytumtoes: and their upturnpikepointandplace is at the knock out in the park where oranges have been laid to rust upon the green since devlinsfirst loved livvy. (Finnegans Wake, Faber & faber, 1939, p.3)


確かに難しいのですが、実は、『若い芸術家の肖像』と『フィネガンズ・ウェイク』(そしてそのあいだに書かれた『ユリシーズ』)の文体には多くの共通点があります。別の言い方をすれば、引用した二つの文章のあいだにあるのは断絶や飛躍ではなく、段階的な発展であり、何もかもが変わっているわけではないのです。『肖像』から『ユリシーズ』を経て『ウェイク』に至るまで、ジョイスがどのような文体の冒険をしたのか、みなさんと一緒に確かめたうえで、その先に拓けるかもしれない道に踏みだしてみたいと思います。

講師 / 今関裕太

〈プロフィール〉
2025年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。江戸川大学専任講師。専門は20世紀のアイルランド文学とメディア論。共著に『詳解 ラカン「サントーム」——ジョイス・結び目・精神病』(福村出版、2025年)、『メディア論の冒険者たち』(東京大学出版会、2023年)、Flann O’Brien and the Nonhuman: Environments, Animals, Machines(Cork UP, 2024)。2020年よりメディア研究の学術誌『メディウム』を共同編集(現在は第5号まで刊行)。

主催者

A&ANS

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申込み:Peatix またはフェイスブックよりお願いいたします。

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