純粋さを守る映画――インディペンデントの精神

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純粋さを守る映画――インディペンデントの精神

自主映画は、商業映画の“裾野”でも、“練習の場”でもありません。
それは、利益やしがらみから解き放たれ、つくり手が自らの内面を徹底的に掘り下げて生み出す“ピュアな表現”です。
それこそが、私たちが信じるインディペンデント映画の本質です。

商業映画には資本の論理が不可欠です。「利益を上げる」という前提がある以上、どうしても表現は制約を受けます。
しかし自主映画には、その制約がありません。
だからこそ、つくり手が自分自身の内側を煮詰めて生み出した、蒸留水のように純度の高い作品が現れるのです。

私たちは、そうした映画を前にすると、心から感動します。
「こんなにピュアなものを見せてくれてありがとう」と思うのです。
街ですれ違う何気ない人の中に、これほど豊かな世界が眠っているのか――人間の可能性の素晴らしさを思い知らされます。

「20年代の視角ーー若き才能が、集まり、離れる」から見えたもの

この思いを改めて強くしたのが、先日開催した「20年代の視角ーー若き才能が、集まり、離れる」でした。
この会は、2023年に演劇家・芥正彦氏の私塾的な集まりに参加した若者たちの中から、映像作家を志す4人の上映会として始まりました。

当時の稽古場は、まるで1970年にタイムスリップしたかのような空間。
やがてその活動は書籍化され、『地下演劇7号 希望の原理』として記録されました。

2023年は早稲田大学小野梓記念館を会場に、アーティストの水野幸司さんを迎えたトークを開催。

2023年の座談会の様子。制作者同士の熱いトークセッションでした。


翌2024年には6名の映像作家が参加し、『フタバから遠く離れて』『ある職場』『過去を負う者』など社会の深い問題に鋭く切り込まれる映画監督・舩橋淳氏をゲストに迎えました。さらに、国際映画祭に参加中の芝田日菜さんとオンラインでバリと早稲田をつなぐなど、新しい試みも実現しました。

2024年、トークゲストに舩橋淳監督がご参加くださり、映画についてそれぞれの想いを話し合えた会でした。

そして2025年。新たに川上さわさん、菊池路介さん、北野陽太さんを迎え、5名の作品を上映しました。
今回はゲストを呼ばず、参加監督自身による座談会を行いましたが、それぞれの個性が際立ち、とても刺激的な時間となりました。

2025年は、3人の監督と映画制作にも関わるファシリテーターの松岡さんに参加していただき、会場も熱い熱気につつまれました。

また当日は、『時効警察』『転々』『亀は意外と早く泳ぐ』など、数々の名作を生み出してきた三木聡監督も会場に足を運んでくださいました。
日本映画に独自の笑いと世界観を刻んできた監督が、自主映画の現場に立ち会ってくださったこと。
自主映画と劇場映画――それぞれの立場を超えて交わされるまなざしが、この場の豊かさを物語っていたように思います。

ご参加くださった三木聡監督と参加作家とともに記念撮影

映画に大きいも小さいもありません。
大作と言われるものは、しばしば予算的な話にすぎません。
重要なのは、そこに魂が込められているかどうか。
私たちは、その一点を信じています。

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